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ドクター、マスター、学卒、その他と階層は厳然と区別され、仕事の内容、出世コースまでまるで軍隊のように組織化されている。 他のヨーロッパ諸国やアメリカでもドクターに対する評価は日本以上ではあるが、ドイツほどではない。
北欧諸国では、これほど厳然と区別されることはほとんどなかった。 昭和四十年代、筆者が良く訪問したデンマーク最大の私企業コペンハーゲンの「ノボ」社の研究所では大卒のシビルエンジニアが年配のドクターを使っていた。
このあたりは国民性の差であるかもしれない。 一部の人間に権力を集中させる弊害は、ドイツにおけるエレクトロニクス技術分野での技術開発競争の立ち遅れに出ているように思われる。
ドイツにおけるすべての企業がそうだとは思わないが、これも国民性の一端であるようだ。 一方、アメリカにおけるMBA(経営学修士)は一部の日本の大学でも真似しているようだ149ひところほどの評価はされていないようだ。
日本の大手企業でも、MBA取得のために毎年、何人かをアメリカに派遣しているところもあるが、子問、暇をかけるだけの値うちがあるのだろうかと疑問に思う。 アメリカでさえ、余りにもMBA取得者を優遇しすぎる弊害を指摘する意見が出ている昨近、アメリカ以上に激しいビジネス競争の渦中にある日本では、むしろ害の方が大きいのではないかと思う。
激しいビジネスの修羅場を十分に経験した上での理論づけのためのMBA取得は大いに結構だが、いわゆる「英語屋」同様の「MBA屋」にならないようにしたい。 欧米の権威主義を見せつけられると、むしろ日本の方が学歴を問わずチャンスが開けていると思われる。
日本では学歴や大学問格差を企業内で序々に除く努力をまがりなりにもしており、このあたりは欧米とは異なるように思う。 外資系では日本の大学卒より欧米の大学卒を評価する次に同じ日本人同士の場合を見てみよう。
外資系企業という性格上、ある程度やむをえない面もあるが、欧米の大学を卒業した日本人は日本の大学卒より優遇される傾向が強い。 筆者は欧米の大学の方が日本よりレベルが高いなどとは決して思わないが、欧米の大学を卒業することにより、まず語学力が優れ、かつ欧米の文化を吸収していて、欧米人とより親しく接触できるからと解釈したい。

これらの事実は実力主義とは相反することだが、欧米人の日本人に対する諸々の評価、外資系企業での日本人の立場をも示しているといえよう。 外資系の会社をいわゆる外資系にしたくない部長アメリカ系大子機械メーカーの技術部長S氏の若手技術者の採用のためのインタビューに筆者は数回同席したことがある。
この時S氏は応募者とのインタビューで「この会社をいわゆる外資系にしたくありません」と必ずいうのである。 そのこころ4は、会社の雰囲気を国内企業と外資系企業の両方の長所を持つ会社にしたいということにあった。
S氏自身、国内企業から外資系企業への転職経験者である。 そのために両者の長所短所を実際に経験して感じ取ってきており、外資系の殺伐とした、人間味の薄いイメージの会社ではなく、社員同士お互い信頼し合えるような雰囲気を少しでも作り出したい。
そのような方針に賛同し行動する人にきてほしいとのことであった。 実際に外資系企業の中で生活してきた筆者にとってS部長の言葉には、社内の雰囲気を少しでも良くし、社員の融和を図ろうとする気持ちがこめられていることが良くわかるのである。
特に英字紙に求人広告を度々出す会社は危ない。 少し給与が高くなるとクビにし、若い給与の安い人材に入れ替えようとしているケースが多いからだ。
また、このような会社に限って求人広告の出し方が子慣れしており、五〇〇社だの、やりがいのある会社だのといいたがり、求人雑誌には社員を写真入りで出しているケースが多い。 会社が拡大基調であるがための求人か、単に、そのポジションの人間が退職したための求人か、あるいは解雇による首のスゲ替え人事なのか、良く調べてみてわからなかったら、インタビューの時、うまく尋ねてみるのも悪くない。

外資系企業の中途採用で時折見かけるのが、わずか一年足らずのプロジェクトのためにあたかも長期採用のごとく人材を求めるケースである。 長期的視野に立ち、必死になって一~二年頑張ってみたが撤退せざるをえず、従業員を解雇するというケースならわかるが、短期的プロジェクトのためであればはっきりとその旨、採用の時伝えるべきだろう。
最近、日本でもコンピュータプログラマーや自動車デザイナーその他の募集で、一~二年の契約社員の募集を見受けるが、はっきりと明言している場合は、まだましだろう。 ただし二年契約と称しておきながら、企業の急激な業績低下のために契約終了前に解雇になったケースもある。
企業側では、通常の正社員より契約社員の方が解雇しやすいのであろう。 契約社員の場合、一応これらのことも念頭に置いておいた方が良い。
企業の業績が一向に上昇せず、毎年社員の平均年齢が高くなって行く時、年配の高給社員をクビにして若い給与水準の低い社員を採用し入れ替えることは、最近ごく普通に見受けられるようになった。 これらの事態のためも常日頃から自分自身で対策を立てておくべきだろう。
外資系企業の場合、やはり実権を握っているのは本社の方で、日本支社の支社長は特に外国人の場合、いずれ本社に帰る時のポジションのことが頭にあるので、本社の意向にはいつもピリピリしている。 また極力、本社の人間とはトラブルを避けようとしている。
日本の支社で思い切った方針をとれないのもこのあたりに原因があるが、日本人が足場を固めようと思うなら、本社の人間と友人になれば良い。 本社の「誰それと親しい」ということを日本の支社長がわかれば、余り勝手なことをいってこなくなるのは事実である。
また自分の悪事を本社に告げ口されないかと、気遣いさせるだけでも有利である。 ただ、この場合は支社長に対する気遣いも忘れないように。
外資系企業の定年制大抵の会社で一応定年制を設けているが、あえてここで強調するまでもなく、自分が入社した外資系企業に定年まで勤務できる可能性など、ほとんどないものと考えておいた方が良い。 昨今、日本の大手企業でも、どしどし高年齢者の人減らしを行っている。
希望退職や退職勧奨などを何の気がねもなくやれるようなムードまで出てきている。 ましてや実力主義を前面に強く出している外資系企業では、自分がトップになるか途中で出ていくかどちらか二者択一しかないと考えておいた方が良いかもしれない。

若い時の給与などの待遇が少々良い分、余り文句もいえない。 外資系企業をスピンオフして、ベンチャービジネスを興す起業家が多い。
もともとベンチャーの創業者の中には大企業からの独立組が多いが、中でも転職をドライに許容する外資系企業の経営風土が新しい創業者を次々に生み出している。 転職が余り人々に受け入れられていなかった二十年以上前の日本では、会社を辞めて独立すること自体、組織からの落伍者、脱藩者の見方が強かったが今ではそのようなことはない。
自分に会社のトップになれる実力があり、自信があったら、むしろどしどしやるべきだ。 そのほうが天下国家の見地から見てもよろしい。
このような風潮は、日本に外資系の会社が根を下ろしてから生まれている。

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